宇刈里山公園と大日化石 H24.4.20寺田 袋井市、掛川市、森町にかけて掛川層群といわれる約200万年前の地層が広がっています。この地層群の中で袋井市大日地区の大日砂層と呼ばれる地層は、全国的に貝化石をはじめとする多くの化石の宝庫として知られ、地質学・古生物の研究のメッカとなってきました。 一帯の化石の研究には、明治わが国で最初に地質や化石の調査を手掛けた東京大学の横山又二郎教授が関わっています。またこの後、京都大学の槙山二郎教授など多くの研究者が大日を訪れ、数々の研究成果を残しています。 大日砂層からは、当時生息していた200種類以上の大変多くの貝化石が発見されています。発見された貝化石からは、暖帯系の海域に生息する種類であることが調査され、当時の気象条件などが調べられています。また、発見された貝化石のうち約半数以上は既に絶滅した種類となっていて、進化の過程が研究されています。この他、海に流れ込んだ植物の種子や材、蟹やヒトデなどの小動物、魚や鮫、鯨といった海洋動物の化石などが発見され、当時の状況を知る貴重な化石の産地となっています。 発見された化石には、ダイニチフミ貝、ダイニチコロモ貝、スウチキサゴ(周智郡)、トウトウミシラトリ貝(遠江)など、当地の地名を学名に付けたものも見受けられます。また、古くから多くの化石が調査研究されたことから、大日砂層は、この年代を特定する場合や比較する時、地質学の研究者の間で使われる「模式地」と呼ばれる地層にもなっています。 このように研究者の間では有名な大日地域ですが、残念ながら地元においては、まだ十分にその価値が伝えられていません。このような中で、今回「宇刈里山公園」が整備されるわけですが、この公園に大日化石の意味を伝える生きた資料を展示することは、大変意味あることと思います。 公園が地域の人たちに愛され、地域の貴重な財産として活かしていくことは大変有意義なことと思われます。特に将来をになう子供達には、生きた教材として大切な贈り物になることと思います。 |
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宇刈里山公園の化石展示の様子 |
化石ブロックの展示(拡大) |
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化石を含んだ地層の露頭展示 |
大日砂層から出土した化石 スズキ化石資料館より ダイニチフミガイ |
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スズキ化石資料館より 魚の耳石の化石 |
スズキ化石資料館より イルカの化石 |
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スズキ化石資料館より ヒトデの化石 |
スズキ化石資料館より 鮫の歯の化石 |
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東海大学自然史博物館より 鹿の角の化石 |
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